試し読み
鬼灯中毒







―――その時あたし達は長期の護衛のしごとを受けていた。

最近は魔族はおとなしくしており、レッサ―デーモンが現れるのもかなり減ってきたものの、盗賊やらなんやらのごろつきの出現率は変わらなかった。

いや、レッサ―デーモンがいない分返って増えたのかもしれない。それは盗賊いぢめ好きのあたしにとっては願ってもない事だった。

いつも通り、依頼人を護る依頼の為もあって、現れる盗賊達を呪文でふっ飛ばしていった。

簡単な呪文ばかり使っていたからすぐにその変化には自分でも気付けなかった。なんだか気分が悪い、というのはあったもののさほど大した事はないと思ったのだ。――――が。

 

「火炎球!」

ある日それを盗賊達に放とうとすると、発動しなかった。

気分がいつもより悪かったのは確かだった。それのせいか。けれど心配性の保護者や、依頼を受けている立場でそれを隠していた、のに。

あたしのフォローにガウリイが刹那入り、結局事なきえて盗賊を倒しきる。けれど。

「大丈夫か?顔色悪いぞ」

戦いを終えてすぐに彼が近づきあたしの顔を覗き込んだ。

「……風邪、かも。そーいえばここんとこだるくて」

体調管理しっかりしてなくてごめん、と素直にあたしは謝った。

 

ガウリイが過度に心配したのと、あたしもしごとに支障が出ては、と次の町で病院に行くことにした。

そして診てもらった後、自分の分野の様だからと内科医と交代で現れた女医の一言であたしの頭は真っ白になる。

「おめでたですね」

「………え」

 

お互い気をつけては、いた。

それにあたし達が身体を重ねるに至ることは多分恋人同士と呼ばれるのよりもずっと少ない。普段はその前どまりで満足してしまう。隣を並んで歩けるだけで充分な時だってあるし彼もそれでいいと言う日々。なのに。

 

―――どうして子供が出来たことをおめでたと言うんだろうか、と現実逃避的に思う。

魔法は安定期に入るまでは使えない、旅を止める、と言う単語をぼんやりとした頭で医者の説明の中から聞いた時あたしはとっさにそれを口にしていた。



「………産むわけには、いかないんですけど」






かないろ新境地痛黒リナ。出だし、後半はカットされてます。(そしてあえてさほど痛黒くないとこをここでは抜粋。爆死)
続きや黒さが気になる方(爆)は是非本のほうで。予約限定。詳細は最新情報にて。




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